
技術紹介
TECHNOLOGY
アルミニウム合金上への無電解ニッケルめっき
■ 特許技術 「酸電解法」-アルミニウム合金上への無電解ニッケルめっき方法
【亜鉛置換法】
脱脂
エッチング
中和
亜鉛置換
硝酸(剥離)
亜鉛置換
無電解Ni or 電気めっき
【酸電解法 】
脱脂
エッチング
中和
陰極電解
無電解Ni
熱処理
電気めっき
酸電解法の重要工程
※各工程間に水洗があります。
比重が小さく比強度が高いことから幅広い用途に使用されているアルミニウム合金は、めっきにおいて密着性が乏しい難めっき素材である。 めっき後の密着性を確保するため、前処理を行う必要があり、亜鉛とアルミニウムの置換反応を利用した処理が一般的である。しかし、亜鉛置換処理は皮膜した亜鉛がめっき液に溶解しめっき浴の寿命を著しく低下させる等の問題点がある。
弊社では、新開発した添加剤(弊社商品名:サーファX-B材)を入れた硫酸系前処理液中で高速電流反転電源(以下、高速PR電源)を使った電解による前処理を行うことで接着層を形成させ、
無電解ニッケルめっき後に加熱処理(200~550℃、20~60分)を施し、優れた密着性を確保する
独自技術の開発に成功致しました。(以下、酸電解法と呼ぶ。)
【特長】
-
めっき前処理時の液管理が容易
※亜鉛置換法では、溶融亜鉛によるめっき液の劣化が発生 -
1種類の硫酸系前処理液で全てのアルミニウム合金に適用可能
-
高速PR電源による陰極電解により、アルミニウム合金上に数十ナノメートルの微細孔を持つアルミ酸化層を形成及び微細孔内に銅のナノ粒子(数~数十ナノメートル)の析出(写真1参照)
⇒銅粒子を核として無電解Niが析出
※微細孔にがっちりはまり込むように無電解Niが析出、アンカー効果により、密着性を実現 -
熱処理(500℃)の耐熱処理試験で膨れなし(写真2参照)
-
曲げ試験で剥がれなし(写真3参照)
写真1:A1050 接着層 10万倍SEM 断面写真

写真2:A1050 耐熱処理試験

写真3:曲げ試験

【塩水噴霧による腐食試験】
下記の写真は亜鉛置換法及び酸電解法により、ADC-12材上に無電解ニッケルメッキを10μm施した後に塩水噴霧試験を96時間行い腐食状態を比較したものです。
写真4

【生産ライン実績例】
用途:半導体製造工場のクリーンルーム床板(A社)
1988年8月より下図製品の酸電解法前処理によるNi-Crめっきの量産化に入り、
約5600枚/月Aveの生産において歩留まり100%の実績となっております。

マグネシウム合金の陽極酸化
■ 特許技術 「マグマカラー法」-マグネシウム合金の皮膜生成方法
マグネシウム酸化物が電気絶縁性を有することに着目し陽極酸化処理によりマグネシウム合金の表面に厚くマグネシウム酸化物の絶縁皮膜を生成して皮膜生成だけで防食処理を行う方法を試み、マグネシウム合金(AZ91D)等の素材に対する絶縁皮膜生成方法の開発に成功致しました。
【特長】
-
酸化皮膜そのままの状態で耐食性が良好であります。
-
塗装の下地処理としても対応しており、塗膜との密着性も良好であります。
-
浴組成に有害金属は一切含んでおりません。
-
液管理も簡単なシンプルな浴組成であります。
【マグマカラーSL法】
●耐食性評価
下記サンプル品(AZ91材)を陽極酸化処理しました。
未処理品と処理品を塩水噴霧試験(1000H)にかけ耐食性評価を実施致しました。酸化皮膜は10μmです。